【兵法】 五輪書 【宮本武蔵】
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五輪書(ごりんのしょ)は、宮本武蔵の著した兵法書。武蔵の代表的な著作であり、剣術の奥義をまとめたといわれる。
寛永20年(1643年)から死の直前の正保2年(1645年)にかけて、熊本県熊本市近郊の金峰山にある霊巌洞で執筆されたとされる。
剣道の歴史において異色とされる宮本武蔵の二天一流は、次のような考えから生まれている。「太刀はひろき所にてふり、脇差はせばき所にてふる事、先ず道の本意也。此一流におゐて、長きにても勝ち、短きにても勝つ」。つまり宮本武蔵の革新は、勝つという1点をただ合理的につきつめたところにあることがわかる。
宮本武蔵が二天一流の奥義を記した本書は、勝つことにおいて何が理にかなうものであり、何がかなわないのかを説いている。構成は地水火風空の5巻からなり、「地之巻」では兵法や二天一流の概略を、「水之巻」では太刀筋や剣術の極意を、「火之巻」では実戦に勝つための要諦を、「風之巻」では他流派との比較を論じ、最後の「空之巻」では二天一流の到達した境地をまとめている。
剣豪・宮本武蔵が辿り着いた境地とは?戦国の世における兵法は敵を斬る、1対1、1対多数の戦いに勝つための極意ということになるが、現代社会においても役に立ちそうな概念が詰まっている。敵を斬る(勝つ)ための技術、心構え、駆け引き等、現代の自分含め多くの日本人に決定的に欠けている概念の様に思う。戦場ではきれいごと抜きに勝ってなんぼの世界であり、勝たなければ明日はない。そのために徹底した鍛錬、広い知見、合理主義を貫くことが必要で、名声は後から勝手に付いてくるものなのだ。
OODAループで執拗に言及されていて興味を持っていたが、これは読んでおくべき書と感じた。過去の書からの借り物の概念を使わず、武蔵自らの鍛錬から導き出した真理を記してある。この強さ・人生に対する態度・思考の研ぎ澄まし方は大いに見習うべきところがある。
著者の鎌田氏は合気道経験者であるらしく、随所に「合気道にも通じるところがあって」という記述が見られる。確かにそのような部分もあると思うが、そもそも合気道は比較的新しい武道である。武蔵の時代には存在しなかったはずで、鎌田氏の所感にすぎず、解説本の記述としては不要と思われる。 総合的にみて、武蔵の思想というよりは「五輪書を読んだ鎌田氏の感想」という印象があり、あくまで武蔵の思想を学びたければ他書をあたったほうがよいだろう。